コーチング
社長の勇気 リーダーに求められる力・・・まな板の上の鯉
Hさんは、父親でもある先代社長の息のかかった社員が取り巻く環境になじめずに孤独感を味わっていた。経営会議で決定した案件も、その会議に出席していない先代社長の一声でちゃぶ台返しされることもしばしば。
目次
- ○ 社長の孤独
- ○ まな板の上の鯉
- ○ 従業員は意外なところを観ていた
社長の孤独
社員もどちらを向いて仕事をしていいのか・・様子を見ながら仕事をする状態が続いていた。「どちらが社長やねん? 社長を任せるとバトンをわたしたん、あんた違うの!」・・・父親にそう思う日が続いていた。40歳の中堅社員がおらず、50歳代と20歳代の若手社員という組織構造が世代間ギャップを生み出していた。
「任されて、任されず」Hさんは、孤独感を味わっていた。
ひとつのきっかけがあった。社内ワークショップをしている過程で、社長としてのリーダーシップのなさを取り上げられる機会になった。Hさんに対する不満が出はじめてきた。
1on1コーチングの場面でHさんが心の内側を話しはじめた。
自分の決断力のなさ、優柔不断さが、先代から任されきれていない原因だと思う。
先代が指示命令一辺倒で社員に関わってきた結果、社員自ら考えて意見を言わない会話環境になってしまっている。自分もちゃぷだい返しされると思ってしまっている。
じっくり聞いた後、私が提案した。
「まな板の上の鯉」になってみませんか。
一切言い訳も反論もしないで聴くことによって、心から話し合いができる対話環境を創ってみませんか。社員さんTの距離感が縮まります。覚悟と勇気がいりますよ!
Hさん、一瞬ひるんでしまった。
10分程度だろうか 動揺していた。
まな板の上の鯉
Hさんは覚悟を決めて切り出しました。
みんなが思っていることをすべて聞く、その際、一切言い訳も反論もしない!
「まな板の上の鯉になる!」と約束すると・・・。
そして、ある会議の場面で「まな板の上の鯉」がはじまった。
私は相当血圧が上がりはじめている。
駄目だしも含めて、社員は本音でフィードバックしてくれはじめた。
・優柔不断。
・ぼやきが多い。
・先が描けないので不安。
・「どうせ、会長がひっくり返すだろう」と前置きして話しだす。
「聴いていて、つらい! 本当にそうなってしまいます・・。」
・「私達に言う時、遠慮している。」等々
・・・延々とフィードバックをもらう時間約90分。
言いつくされてきた。
すると、一人がポツリと言った。
社長のリーダーシップに対して言うばかりではなく、私達にも至らないことがたくさんあります。
「私は社長についていきます!」と温かいメッセージもが出はじめた。
「遠慮なく、未来を語ってください。」ほんのりと温かい空気が漂いはじめ、社員との距離が少し縮まりはじめた。
従業員は意外なところを観ていた
別の日の会議のある場面。
ひとつのインパクトになるテーマが取り上げられました。
業績が芳しくない!原因の一つに商品知識・技術等が先輩社員から伝承されていない。先輩社員と双方向で話す機会がほとんどないまま日々進んでいくことが大きな要因として浮かび上がってきた。会議で自由に話せる環境が少しづつできてきているにも関わらず・・・。
そこで、出てきた本音のアイデアは、会社の社内レイアウトを全面変更しようだった。
それは業績向上に向けてどのくらい重要ですか?と、問いかけたところ・・・。
ほとんど全員、優先順位1番です!と言い切りました。
しかし、会長は社内レイアウト変更にかかる費用は電気設備以外一切経費の捻出なしときっぱり!
結局、これがよかったです。何でもない事なのですが、身近に実現させたい目標が明確になり、その目標に向かって全員でアイデアを出し、自由に意見交換しはじめました。達成させたい環境づくりに向けて、世代間を超えて双方向で会話が進んでいくようになりました。社内レイアウトを変えることによって、自由に会話が飛び交うようになり連携も生まれはじめました。
一切言い訳もせず、社員の感情を聴いて、本音で話せる場をつくるのもリーダーの力だ。
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