「選手の言葉の感覚をしっかりとつかみ、その感覚でイメージを描いていく対話支援をしてあげなければならない。」

元プロ野球選手吉井理人さんの話を聴いて印象に残っていることです。

続いて、・・・

スポーチ選手にとってコーチのアドバイスは本来自分にとっては邪魔なものだと思っている。だからこそ、コーチは自分の経験に基づいた言葉だけでアドバイスするのは避けるべきだ。

 

簡単に言えば「わかる」と「できる」の違いだ。

言っていることはわかるが、咀嚼できない。

腹に落ちてこないのは、その選手の言葉の感覚に近づいていないからだ。

と、吉井さんの熱がこもってくる。

だからこそ、コーチは「その選手だったらどう思うだろう」と想像する能力が求められるのだ。

 

選手の言葉の感覚をつかむのは難しい。

「選手の言葉の感覚をしっかりとつかむ」とは具体的にどうすることなんだろう？

それは、できるだけ選手と話す機会を持ち、できるだけ多くの言葉を選手に語らせる。

つまり、教えるという「INPUT」ではなく、語らせて「OUTPUT」させる。

「OUTPUT」させることで「オートクライン」がおこり、脳の中で整理とイメージがつきはじめる。

 

コーチは、選手が口にする言葉の感覚を細かく把握していく。

選手からすれば、面倒くさいコーチと思われるだろう。

しかし、これは選手にとっても意味があることなんだ。と、吉井さん。

つまり、「オートクライン」させてイメージ化させていく対話のプロセスなのだ。

自分のパフォーマンスを頭で理解できないと、言葉にはできない。

頭で理解できないことは体でも表現できない。

 

マネジャーの部下育成も一緒だなと聞いていてそう思う。

部下が口にする言葉の解釈や捉え方を共有するために、できるだけ部下に語らせる。

「OUTPUT」させて、「オートクライン」をおこさせる。

言語化させて、イメージできないものは行動にうつらない。

 

日本人が従来持っているコーチのイメージは「指導」「助言」「誘導」が主だった。

コーチという言葉に対する捉え方も見直されていく時期に来ている。