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デービット・アトキンソン「国運の分岐点」 ~中小企業は経済成長の足かせ~・・・中小企業経営者が「逃げずに向き合ってほしいこと」
どうすれば、「真の生産性改善が実現できるのか?」
中小企業経営者が「逃げずに向き合ってほしいこと」
3回のうち最終回のまとめです。
5・中小企業の生産性低迷の原因を探る
6・「淘汰なのか」という過剰反応
7・「中小企業が減ると日本は倒れる」は感情論にすぎない
以下、中小企業家同友会全国協議会で地域経済学のブレーンになってもらっている島澤諭氏 (公益財団法人中部圏社会経済研究所研究部長)の講演の要約です。
中小企業では『真の生産性改善』があるにもかかわらず、全体としてみた生産性はマイナスとなっている。これは、売上高の低迷・減少の影響が大きい。
具体的には、中小企業の売上高低迷の原因は以下にある。
大企業がデフレや新興国企業の勃興による国際競争力の低下などによる需要(=売上高)減少に直面した際、
付加価値向上による真の生産性改善ではなく、
人件費削減(雇用削減)や下請け企業による納入価格の切り下げなどによって
生産コストを引き下げ、少ない売り上げでも利益を出す仕組みを構築したこと。
さらに言えば、短期利益中心の株主を最 優先する姿勢があった可能性も指摘できる。
このように、日本の生産性低迷は、中小企業の問題ではなく、大企業の問題だとバッサリ。
人口減少が中小企業にもたらしている問題として
後継者不足」がすでに表面化しています。
日本政策金融公庫の調査によると、調査対象の中小企業の中では、
現在経営者が50代という会社でも半数近くが
「自分の代で事業をやめるつもりでいる」と回答しています。
経営者が60代になると、半数以上が廃業を予定しています。
後継者問題
後継者が決まらずそのまま廃業するというのは、
結局のところ企業を育てられなったまま消えるということでもあります。
生産性の高い企業であれば雇用吸収もでき、
後任候補も挙げやすかったのではないでしょうか。
後継者がいないというのは、
その企業は継ぎたい人がいない=継ぐ魅力やメリットがないということで、
実際そのような企業が多い可能性は高いと言えます。
ところで、「中小企業の数を減らせ=潰せ、ということなのか」
「大企業に買収されてリストラされるのか」という感情的な反発も見られますが、
一方でこのような事実もあります。
中小企業のM&Aが拡大しているのです。
中小企業が自ら「数を減らす」行為と言えますが、
中小企業のM&Aを手掛ける大手3社の成約件数は、
2012年に比べて2017年では3倍以上に増えています
金融機関の現場で聞くと、
後継者のいない中小企業のM&Aを手掛ける買い手企業は、
勢いのある中小企業だという現実。
そして、「大企業による中小企業の買収」は一般的に考えづらいということです。
それもそのはずで、大企業の立場からすると、
地域性など何か特別な目的がない限り、
事業規模の小さな企業を買収するというのはコストが合わないことなのです。
事業を承継できないのは
経営者の諦め」「怠慢」である場合も少なくありません。
厳しい言い方をすれば、政策が変わらなくても、
会社を成長させられなかったがために、
あくまで「自然淘汰」されてしかるべき企業だったということです。
厳しい現実だ。
最後に、人口減少が確約されている中で、
「小さな企業であることのメリット」があるのかどうか考えてみましょう。
不利な点が多くありますが、それを上回るかどうかを冷静に考える必要があります。
・融資を受けにくい
・売上高規模が小さいので大きな設備投資、人材育成に費用をかけられない
・少ない人数では多様な販路を作るのが難しい
・狭い領域での事業は環境の変化に脆弱
中小企業経営者の質
特に環境の変化という点では、
今回の新型コロナウイルスのパンデミックで多くの事例が示されたのではないでしょうか。
ひとつひとつの中小企業の特技は異なりますが、
一連の報道の中で、「中小企業の経営者の質」に触れられることがない、
というアトキンソン氏は疑問を投げています。
イノベーションを起こせる中小企業は全体のほんの一部でしかありません。
この役割をこなしている中小企業は、大変限られています。
イノベーションを起こせないその他多くの中小企業は、
最新情報や技術に疎い傾向があるようです。
『中小企業白書』によると、
例えばシェアリングエコノミーに象徴される
ビジネス上の新しい概念を知っているかどうか調べたところ、
小規模事業者の経営者の81.8%は「知らない」と回答したようです。
また、「SDGs」についても、その認知度は低い状態です。
もちろん、全ての中小企業を一括りにして語るのは乱暴で、
応援すべき中小企業も存在します。
しかしこのような新しいビジネスの概念を知らず、
持たずにいる企業が圧倒的に多いのも事実です。
今後、実際に中小企業の再編に向けた政策が実施される可能性は大いにあります。
しかし、こうした知識の取りこぼしがある企業が感情論を表明しても、
なんら効力はありません。
中小企業経営者が「逃げずに向き合ってほしいこと」
3回のうち最終回のまとめです。
5・中小企業の生産性低迷の原因を探る
6・「淘汰なのか」という過剰反応
7・「中小企業が減ると日本は倒れる」は感情論にすぎない
以下、中小企業家同友会全国協議会で地域経済学のブレーンになってもらっている島澤諭氏 (公益財団法人中部圏社会経済研究所研究部長)の講演の要約です。
5・中小企業の生産性低迷の原因を探る
中小企業では『真の生産性改善』があるにもかかわらず、全体としてみた生産性はマイナスとなっている。これは、売上高の低迷・減少の影響が大きい。
具体的には、中小企業の売上高低迷の原因は以下にある。
大企業がデフレや新興国企業の勃興による国際競争力の低下などによる需要(=売上高)減少に直面した際、
付加価値向上による真の生産性改善ではなく、
人件費削減(雇用削減)や下請け企業による納入価格の切り下げなどによって
生産コストを引き下げ、少ない売り上げでも利益を出す仕組みを構築したこと。
さらに言えば、短期利益中心の株主を最 優先する姿勢があった可能性も指摘できる。
このように、日本の生産性低迷は、中小企業の問題ではなく、大企業の問題だとバッサリ。
6・「淘汰なのか」という過剰反応
人口減少が中小企業にもたらしている問題として
後継者不足」がすでに表面化しています。
日本政策金融公庫の調査によると、調査対象の中小企業の中では、
現在経営者が50代という会社でも半数近くが
「自分の代で事業をやめるつもりでいる」と回答しています。
経営者が60代になると、半数以上が廃業を予定しています。
後継者問題
後継者が決まらずそのまま廃業するというのは、
結局のところ企業を育てられなったまま消えるということでもあります。
生産性の高い企業であれば雇用吸収もでき、
後任候補も挙げやすかったのではないでしょうか。
後継者がいないというのは、
その企業は継ぎたい人がいない=継ぐ魅力やメリットがないということで、
実際そのような企業が多い可能性は高いと言えます。
ところで、「中小企業の数を減らせ=潰せ、ということなのか」
「大企業に買収されてリストラされるのか」という感情的な反発も見られますが、
一方でこのような事実もあります。
中小企業のM&Aが拡大しているのです。
中小企業が自ら「数を減らす」行為と言えますが、
中小企業のM&Aを手掛ける大手3社の成約件数は、
2012年に比べて2017年では3倍以上に増えています
金融機関の現場で聞くと、
後継者のいない中小企業のM&Aを手掛ける買い手企業は、
勢いのある中小企業だという現実。
そして、「大企業による中小企業の買収」は一般的に考えづらいということです。
それもそのはずで、大企業の立場からすると、
地域性など何か特別な目的がない限り、
事業規模の小さな企業を買収するというのはコストが合わないことなのです。
事業を承継できないのは
経営者の諦め」「怠慢」である場合も少なくありません。
厳しい言い方をすれば、政策が変わらなくても、
会社を成長させられなかったがために、
あくまで「自然淘汰」されてしかるべき企業だったということです。
厳しい現実だ。
7・「中小企業が減ると日本は倒れる」は感情論にすぎない
最後に、人口減少が確約されている中で、
「小さな企業であることのメリット」があるのかどうか考えてみましょう。
不利な点が多くありますが、それを上回るかどうかを冷静に考える必要があります。
・融資を受けにくい
・売上高規模が小さいので大きな設備投資、人材育成に費用をかけられない
・少ない人数では多様な販路を作るのが難しい
・狭い領域での事業は環境の変化に脆弱
中小企業経営者の質
特に環境の変化という点では、
今回の新型コロナウイルスのパンデミックで多くの事例が示されたのではないでしょうか。
ひとつひとつの中小企業の特技は異なりますが、
一連の報道の中で、「中小企業の経営者の質」に触れられることがない、
というアトキンソン氏は疑問を投げています。
イノベーションを起こせる中小企業は全体のほんの一部でしかありません。
この役割をこなしている中小企業は、大変限られています。
イノベーションを起こせないその他多くの中小企業は、
最新情報や技術に疎い傾向があるようです。
『中小企業白書』によると、
例えばシェアリングエコノミーに象徴される
ビジネス上の新しい概念を知っているかどうか調べたところ、
小規模事業者の経営者の81.8%は「知らない」と回答したようです。
また、「SDGs」についても、その認知度は低い状態です。
もちろん、全ての中小企業を一括りにして語るのは乱暴で、
応援すべき中小企業も存在します。
しかしこのような新しいビジネスの概念を知らず、
持たずにいる企業が圧倒的に多いのも事実です。
今後、実際に中小企業の再編に向けた政策が実施される可能性は大いにあります。
しかし、こうした知識の取りこぼしがある企業が感情論を表明しても、
なんら効力はありません。
ビジネスの最新情報や人口問題から目を逸らし、
新しいものから逃げ続けていては、まさに淘汰の対象になってしまいます。
会社の未来を一緒に探求していきませんか。
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