人財育成　人づくりは土づくりにあり

～外からは観えないもの～

 

日本企画（株）利社長との話の続きである。私は従業員家族にファンが多いです、と。笑顔で話してくれる。その裏側を訊いていくと・・・。

 

会社が田んぼと畑を持ち、農業を通して、従業員家族と定期的に関わっている。土壌をつくり、種を蒔き、育て、花を咲かせ、実を収穫する事を毎年していると、従業員にいくつかの変化が現われてきたという。

探究心が養われ、観察力が身についていき、現場対応に機微に動ける従業員が増えてきた。

 

自然栽培でつくったお米の根っ子は土壌深くにはびこらせていくが、農薬をまいたお米は根が張らない。養分を採取するのに、広く深く根を張っていかなければならない苗と、容易に養分がとれるので根を張らなくてもいい環境の違いがある。

 

農薬を使って、促成栽培（研修等で即戦力育成と言う考え方）という育て方ではなく、その人なりに自発性・自主性を持たせて育てていく関わり方が、時間はかかるけれども結局大事な戦力に育っていく。実践しながらそういう思いになってきた。

「人づくりは土づくりにあり」という考えに到達し、今完全無農薬、完全有機栽培に挑戦している。

 

工夫を重ねていく過程で、面倒くさい、手間のかかる、グレーゾーンで誰がするのかわからないことにも出くわすこともあろう。誰かがやるだろうよりも、目をそむけず当事者意識をもってやる。人の気持ちを汲める従業員を育てていこうと、社長も一緒になって取り組み続けていく努力が　人からあてにされる土壌づくりにつながっていくようだ。

 

「気の利く社員づくり」と穏やかな社風づくりをめざす人間関係の根っ子がここにあった。

人間関係を円滑にしていく関係づくり、利社長のひと育ての原点だ。

 

この会社で働きながら、これからの人生を自分らしく楽しく生きていけるか？

それなりの暮らしをしていけるか？

会社の成長に向けて貢献していけるか？

そして自己成長していけるか？

やがて生まれてくる子供たちが誉れに思ってくれる会社になりうるか？

みんながしあわせになれる会社に共にしていけるか？

そう信じて契りを交わした社内結婚。

 

どの程度「人を生かした会社」なのか？

滋賀ダイハツ販売（株）で教えてもらった指標の一つが「社内結婚率」だった。

ここでも訊いてみた。

日本企画の女子社員は約100名。従業員数が７８５名

社内結婚率は８０/７８５名＝１０．２％。

女子社員の８０％は社内結婚をしているということになる。驚異的な数字だ！！

 

【企業理念】【企業文化】を経営者と従業員が共有しながら、安心して意欲を燃やしていける土台が形成されていた。

 

外からは観ることができない人育ての要諦がここにもあった。