京都市の木屋町通りの喫煙場所のある日のシーンです。

喫煙場所のある場所に家庭用７０Ｌごみ箱が置かれている。近隣のラーメン店で使用したラードの塊が毎週そこに捨てられている。それが根源となってその周りはゴミだらけ。臭い、汚い。

ある頃から２～３人でこの場所の掃除を毎週始めることにした。なぜならば、木屋町通りで最も汚い場所だからだ。しかし、いざやり始めるとラードの油汚れ、たばこの吸い殻、空き缶のポイ捨て、立小便で異臭を放つ光景はすざましいばかりの汚さだ。一瞬腰が引ける。

人数が少なくて、掃除が終わらない。この汚さでは　掃除を手伝います、という協力者も現われにくいのも最もなことだ。この場所の掃除をやると決めたものだけでやり続けていた。目の前の汚さに向きあって、とことんきれいにする。修行みたいなものだなと思ったこともあった。

何のためにそこまでしてこの場所の掃除をしているのか？

その答えが浮かぶことなどない。

やり始めたからやり続けているだけであった。

逃げ出したくなることもあるが、心の内側と向き合っているだけであった。

そのうち、自分の心に変化が生じはじめた。喫煙場所の「ＢＥＦＯＲＥ　⇄　ＡＦＴＥＲ」だ。

気持がいい、清々しい、すっきりする、爽やか、・・根拠のない笑顔になれる自分があった。何よりも早朝に、喫煙場所掃除をすることに心地良さを感じるようになってきた。

以前よりもまして・・・。やったものだけが感じることができる清々しさ。

ある時に鍵山相談役がそっと、囁いてくださった言葉を思い出す。

「戸田さん、何にもならないことが大事なんです！」

この言葉の意味がなんとなく体で理解できるようになりつつあった。

そう思っていると、喫煙場所にニコニコと掃除をする仲間が自然に増え始めてきた。

一人ではできない事でも、みんなで思いをもってやればみるみる喫煙場所は清々しくなっていく。

観音さまがひきよせてくれてる。