共に育つ　降りてゆく生き方

　　～仕事の７０％は従業員とのコミュニケーション～

 

日本企画（株）の利社長に話を伺ってきました。人育ての核心は「降りてゆく生き方」にあった。社長の仕事の７０％は従業員とのコミュニケーションだった。

会社が荒んでいた時期

バブル崩壊後、不景気をバネにしながら伸びてきた会社ですが、崩壊後２～３年経ってからその影響を受けはじめました。クライアント企業に出向いていた社員が必要ない。と、いわれはじめました。資金繰りが苦しくなり、人間関係もギクシャクしていきました。

藁をもすがる思いで頼っていったのが鍵山秀三郎相談役でした。

会社の争いごとを無くすにはこれが一番と「トイレ掃除」をすすめられました。掃除をしなければ、間違いなく倒産します！と、くぎを刺された利社長。わからないけれどやるしかないと、覚悟を決めて会社を後にした。

 

「トイレ掃除」をする意味がわからないまま、はじめた結果

翌日から、社員全員に思いを伝えトイレ掃除をしはじめた。

 

どんな変化が起こりましたか？

「トイレ掃除を通して、良い社風を育てていきましょう」と標榜した翌日、すぐに従業員の反乱が起きました。１週間以内に３００人いた社員の１割が退社した。「私はトイレ掃除をする為に会社にきていません」とか「社長には、ついていけません」と言う理由からだった。

更に１ヶ月以内に１０名が退職していった。

 

自分でわかってやっているわけではない！

相談役を信じて、思いについていこう。と、自分に言い聞かせた

平凡なことをやり続けると決めた！

 

掃除の効果は徐々にではじめた。

やらされている感が強い被害者意識の高い従業員が一気に減り、主体性を持って考える従業員が増え始めてきた。

勤務時間内に掃除をすることで、いかに効率よく作業を進めていくのかについて、それぞれが工夫する社風が生まれ始めた。

 

「降りてゆく生き方」・・仕事の７０％は従業員とのコミュニケーション

利社長が従業員と関わっていく際に大事にされていること。それを一言で言うと「降りてゆく生き方」だった。

社長の仕事の中で、従業員と会話している時間はどの程度ありますか？と質問した。

なんと、仕事の５０％は「従業員とのコミュニケーション」です。会議等を含めると７０％近くになるという。仕事の話だけでなく、家族の話、キャリアアップの話等々。従業員８００人いる会社なのに驚異的な関わり方だ。

 

人間関係を円滑にしていく関係づくり、利社長のひと育ての原点がここにあった。