滋賀ダイハツ後藤会長の話の続きです。職場で起こりがちなコミュニケーションのダブルバインドの話題になった。

 

コミュニケーションのダブルバインドとは二つの矛盾した命令を受けることで、受け手に精神的ストレスがかかるコミュニケーションの状態です。

 

例えば、「我社は社員の主体性を重んじることを大切にしています。」と、新人教育を受ける。

 

職場にもどり、何かの案件で上司に相談すると、「そんなことも自分で判断できないのか！　いちいち相談にくるな！」と、言われる。そう言われれば、そうだ。

が、一旦事故が起きると「重要な案件は何でもきちんと上司に報告しろ。なんで相談しなかったんだ！」と、怒られる。

 

どこまで自分で決めて、何を相談すればいいのかが曖昧。

自分がどう対応していいのか判断できなくなって、精神的ストレスを感じている社員。

 

コミュニケーションのダブルバインドって、組織内でよく見られる光景ですね。

そんな会話環境って、社内で起こっていませんか、と後藤会長に訊いてみると・・。

 

後藤社長

よくある事です。そのことで社内で気をつけている事があります。

 

「出来ていないこと」を「できていると言ってはいけない」

「していないこと」を「したように言ってはいけない」

・・・・これを浸透させています。

 

あるきっかけがありました。

当社が日本経営品質賞を目指して学びはじめた時、評価者（以下アセッサーと言う）が最終審査の為に当社にやってきたときの事でした。

 

アセッサーが『「○●○●」の項目はできているように書かれていますが、実際にどのようにして進めているのですか？』と社員に質問する場面があった。

「やろうとしているところです。」とか「・・・・・かもしれません」「・・・・のように思います」のような曖昧な返答でした。

 

アセッサーの一言「後藤さん、やれていないことをやったと書くのは駄目です」と厳しいフィードバックをもらったことがありました。

 

社長が社員に対して「やれない事をやる」とか「できない事をできる」とか言行不一致なことをいうと社員の会話環境に混乱を起こします。

 

自らコミュニケーションのダブルバインド状態を起こす原因をつくらないようには気をつけています。社員同士の関係性が悪くなる原因ですものね・・。

 

経営者の従業員に関わる姿勢が根っ子にあるのだ。